まず、この「マルフク」の看板がなぜ全国に広がっているのかについて見てみましょう。看板自体は非常にシンプルで、赤地に白文字の横長デザインが特徴的です。しかし、地域によっては白地に赤文字のバリエーションや、縦書きのものも存在します。錆びついて色があせているものもあり、まるで長い年月を経て、看板自体が時代の証人となっているかのようです。
この看板が貼られている場所は、民家の外壁だけでなく、町のブロック塀や倉庫、フェンスなど、地方の至るところで見かけることができます。特に、田舎町ではよく目にすることができ、昭和の時代から存在していることが分かります。
では、このマルフクの看板は一体何を示しているのでしょうか。実は、「マルフク」はかつて実在した会社の名前であり、正式には「株式会社マルフク」といいます。この会社は1958年に「マルフク電話店」として設立されました。当時の事業内容は、電話加入権の売買や、それを担保とした金融業務を行っていた会社です。
固定電話が普及していた時代、電話を引くためには「電話加入権」と呼ばれる権利を購入する必要がありました。この加入権は、電話線を整備するための施設設置負担金として7万5000円という高額な費用がかかり、当時の人々にとって大きな負担でした。
そこで、不要になった電話加入権を買い取り、必要な人に転売するビジネスが登場します。それがマルフクでした。
また、マルフクは電話加入権を担保にお金を貸し付ける「貸金業」も展開していました。このシステムを利用し、多くの人々が資金を調達していました。電話加入権が非常に価値のあるものとされていたため、このビジネスは大きく成長していきます。
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