ある日の午後、私は近くのラーメン屋で昼食を取ることに決めた。ラーメンが無性に食べたくなり、外食するには最適なタイミングだった。だが、私には一つの問題があった。それは、ネギアレルギーという、一般的にはあまり理解されていない体質である。ネギが生の状態で体内に入ると、私にとっては吐き気や頭痛を引き起こす可能性がある。だからこそ、外食の際にはネギを取り除いてもらうことが必須だった。
その日、私は初めて訪れるラーメン店に入った。店内はどこか懐かしい雰囲気が漂い、店主もいかにも頑固そうな中年男性だった。席に座ると、すぐに店主に「ネギ抜きは可能ですか？」と尋ねた。店主は少し不機嫌そうに頷いたが、何とか対応してもらえるだろうと安心した。
醤油ラーメンを注文し、しばらく待つと、ついに私のラーメンが運ばれてきた。ところが、そのラーメンには大量のネギが乗っていたのだ。最初は「ネギ増しと間違われたのかな？」と考えたが、常連らしいおじさんが店主と目を合わせながらニヤニヤしているのを見て、これはわざとやられたのだと気づいた。
ラーメンには大量のネギが乗っていたが、私はすぐに店主の意図がわかった。わざと私のアレルギーに対する配慮を欠いたのだと感じた。どかして食べることも可能だったが、私は「無理な注文をしてしまい、申し訳ありません。アレルギーがあるので食べられません」と言い、千円札をテーブルに置いてお釣りも受け取らずに店を後にすることに決めた。
店を出るとき、店主が「ネギアレルギーなんて聞いたことがない」とボソッと呟く声が耳に入った。これは私が悪いのだろうか？と心の中で疑問が湧いた。
ネギアレルギーに対する理解はまだまだ浅く、多くの人はその存在すら知らない。そのため、事前に「ネギアレルギーなので抜いてください」と説明しても、店側から「そんなの聞いたことがない」と言われることがよくある。外食時には、このアレルギーに関する説明が不十分であったことが、トラブルの一因だった。
ラーメンに限らず、ネギやタマネギがスープのベースになっていることが多く、外食は非常に難しい。もし、ネギが少しでも触れてしまった場合、体調が悪化することがあるからだ。
そのため、家で作るラーメンの方が安全ではあるものの、店の味にはどうしても勝てないという悩みがあった。
私のようにネギアレルギーを持つ人間にとって、外食は常にリスクを伴う。ラーメン店では、スープにネギやタマネギが使われていることが多く、加熱してもアレルゲンが残る可能性があるため、食べること自体が困難になる場合が多い。だからこそ、店側に対して「ネギ抜きでお願いします」と頼むことが重要なのだが、それが通じないことも多い。
その日のラーメン店での出来事は、私にとって単なる食事の場ではなく、アレルギーに対する配慮が欠けている社会の現実を目の当たりにする出来事となった。店主の対応が不親切だったとしても、私自身の説明不足も反省点として受け止めなければならない。
