昨日行われたパリ五輪において、柔道女子52kg級で連覇の期待がかかっていた阿部詩選手が、2回戦でウズベキスタン代表のディオラ・ケルディヨロワ選手に一本負けを喫し、メダル獲得はなりませんでした。試合後、阿部選手は「プレッシャーに負けてしまった」と話していましたが、バルセロナ五輪95kg級銀メダリストの小川氏は、審判が見逃した反則行為があったと指摘しています。
2連覇に期待がかかっていた阿部詩選手は、2回戦で世界ランキング1位のウズベキスタン代表ケルディヨロワ選手と対戦しました。試合開始から2分14秒、内股で見事に技ありを奪いましたが、試合終盤の3分4秒に谷落としで逆転の一本負けを喫しました。準々決勝に進めなかったため、敗者復活戦もなく、メダルなしが確定しました。
試合後、阿部選手は呆然と座り込み、頭を抱えて信じられない様子で周囲を見渡していました。畳を降りた直後は、平の幸秀コーチに倒れかかるようにして号泣し、歩けなくなるほど泣き崩れていました。退場する際には会場から「阿部」コールが湧き起こりましたが、場内には彼女の泣き叫ぶ声が響き渡り、痛々しい雰囲気となっていました。
取材に応じた阿部選手は、「本当に悔しい」と涙を浮かべながら言葉を絞り出しました。試合については、「最初にポイントを取って、もう1個取らないとという取り入れがあった」と振り返り、相手の技が予想以上に上手く、自分も対応できずに投げられたと話しました。また、ノーシードで1回戦からの登場については、「ノーシードっていうのはあんまり気にせず、やるべきことは変わらない」と強調していました。
小川氏は、試合中に審判が見逃した反則行為について指摘しました。阿部選手が技ありを奪った直後の残り1分40秒、彼女は確かに目の部分を気にするそぶりを見せていました。小川氏によると、相手のケルディヨロワ選手の技が中途半端な形であり、偽装攻撃と取られてもおかしくなかったと言います。
もしその時に反則が取られていれば、ケルディヨロワ選手は3つ目の指導で試合は阿部選手の勝ちで終わっていた可能性が高かったのです。しかし、審判はこの偽装攻撃を見逃し、結果として阿部選手は敗北を喫しました。
金メダル獲得後、ケルディヨロワ選手は記者会見でその時の心境について、「阿部選手はレジェンドで完璧なチャンピオンです。私は試合が全て終わるまで表情を変えたくなかったし、彼女をとても尊敬しているから喜びたくなかったのです」と話していました。このコメントからも、ケルディヨロワ選手の敬意とスポーツマンシップが伺えます。
阿部選手は、「五輪という舞台で勝ちきれなかった自分自身がすごく弱いんだなという気持ちです」と涙ながらに語り、今後については「落ち着いてから考えたい」と名言を避けました。
しかし、彼女の戦いはまだ終わっていません。団体戦も控えており、この悔しさをバネに次回の五輪に向けて再び立ち上がることが期待されています。
阿部詩選手の敗北は、多くの柔道関係者やファンにとって衝撃的な出来事でした。試合中の誤審が影響した可能性が高いことを考えると、その悔しさは一層増すことでしょう。しかし、彼女の強さと努力は変わらず、再び立ち上がる日が来ることを信じています。次回の五輪でのリベンジを期待し、これからも応援していきたいと思います。